喜びのバトン「渋柿編」
秋になって、LUMINEアグリマルシェにもリンゴや柿が並ぶようになった。長谷川農園でも二種類の柿を売っている。
いわゆる「渋柿」と「甘い柿」だ。
今日は柿のやり取りのエピソードから、喜びのバトンについて書いてみたいと思う。
1. 興味を持つこと
最近は自分にしか興味がない人が増えてきた。何かに誘っても世界を広げず、「いつものままで大丈夫です。」と言う。
それはそれで良いのかもしれないが、誰かの何かに興味を持つと話が広がる。
「すげーでかい柿ですね」
「渋柿だよー」
「???」
そう言えば渋柿と生まれてこのかた向き合ったことがなかったな。干し柿なら大好物だが。
「これは知っている人なら全部くださいというような渋柿。この前も2人で全部売れちゃった。」
「ますます食べたくなりますね!」
長谷川さんに干し方を教わって3つの渋柿を手に入れた。
2. 干してみるとわかることも
実際に干し始めてわかった。全部の柿の枝がT字型に残されている。甘い柿は枝がなかったのに、、、
それは、、、干しやすいようにする配慮だった。確かに枝がないと糸で結べない。
干してさっそく長谷川さんにメッセージをする。
「上手!」
お褒めの言葉とともに色々コツを教わる。
柿を干すのは母の役割になったが、嬉々として柿をむいている。長谷川さんの言葉を伝えると嬉しそうだ。
3. 群馬県赤城南麓ツアー
仕事の合間に母と妹を赤城に連れて行った。柿のやりとりがあるからか、柿の木を見せてくれた。
そして、、、
トラックと脚立を用意して取り始めたのだ。
柿は手が届きそうで届かない。両手でやらないと柿を落としてしまう。
少年時代の遊びのようでこれもまた楽しい。みんなで大騒ぎをしながら柿を20個くらい収穫した。
自分で収穫しているから枝の切り方も自由にできる。飾り用に3つ付いた枝を作ったりした。
4. 東京での楽しみ
持って帰ってきたたくさんの柿をむいて軒下に干す。都会の一軒家が農村チックになる。
和室に飾り用の柿を飾ると今まで見たこともない雅な雰囲気になった。それをまた長谷川さんにメッセージする。
長谷川さんも喜んでくれる。母のガーデニングもテンションがあがる。
食べられるようになる2週間後が楽しみだ。
追記2019.11.8
美味しくいただきました。長谷川さんと「食べたよー」「味は?」「うまい!やばたにえん!」とは言わないが、そんなやりとりが楽しい。
追記2019.11.18
5. 当たり前がないこと
こんなやりとりが延々に続くのは当たり前だ。でも、当たり前にできない人が最近は多い。
困っている人に頼まれて何かをする。が、お礼も言えない人が増えた。お礼が欲しいわけではないが、その人に何かしてあげたい気持ちは減る。してもらって文句を言う人も少なくない。感謝より自分の都合が先なのだろう。
単に狭い通路で道を譲る。重そうなものを支える。落ちたものを拾って渡す。
大したことではないが、笑顔でありがとうと言えない人が多い。コミュ障なのか知らないが、恩を仇で返すくらい顔を背けて通り過ぎる人もいる。それでも良いが笑顔の輪を切ってしまっている残念な人だ。
今回は渋柿で書いてみたが、ズッキーニ でもレタスでもスムージーでもポップのイラストでも同じことは起きている。豊かな人のつながりとしての「干し柿」はナニモノにも変えがたい柿だ。
物の価値を決めるのは人なんだなと思う。上の空で口に放り込めばただのカロリーにしかならない柿でもあるからだ。