命の洗濯@まほろばの里 山形県高畠町
「都会でひきこもっている人」がたくさんいます。
私自身も30歳まではひきこもっていました。8年間の長く苦しい生活でした。近所の人の目があるので思うように行動できず、お金を払えば入れる施設はあっても仲間を得たり、役割をもらえることはまずありませんでした。
インスタントラーメンやパンを食べ、生きているだけのような日々。
頑張っているのに変われない自分。過食症のような症状でただただ食べ物を口に入れるけれどお腹が満たされることがない。楽しいわけでもないゲームを時間をつぶすように続けて、頭や目が痛くなるまでやっては寝てしまう。
そんな毎日でした。
それを根本的に変える一手を探しに山形県高畠町に行ってきました。今回は精華学園高等学校の卒業生の佐久間くんと一緒に行ってきました。
◎行く前のこと(佐久間くん談)
1ヶ月位殆ど外にも出れずに過眠と過食、うつ症状を紛らわせる為のネットやゲームを繰り返していました。食事を作る力も無いのでカップラーメン等のインスタント食品やお菓子ばかり食べていました。
そんな生活の中で、「栄養のあるものが食べたい」という思いと、「ストレスや刺激の多い街の中に出掛ける」という事への限界も感じていました。
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目次
1.都会でひきこもる
ひきこもる中高生の増加
私は高校の校長先生。年々、学校に行けずにひきこもる中高生が増えていることを肌で感じながら子どもたちと関わっている。
大人のひきこもり
大人もそれは同じ。
私は以前、心療内科で働いていた。会社に行けなくなった人のカウンセリングを毎日のようにしていた。当時の私と同じように患者さんも近所の人の目があるからフラフラできない。家族にプレッシャーをかけられる。何も役割がなく、ただただ人目を避けて隠れている。
そんな生活の中、苦しさのあまり自ら命を落とす人すらいた。
カウンセラーが20分でできることでは散歩する道すら提供できないことを歯がゆく思った時期もあった。亡くなった方の家族にお礼を言われたら尚更だ。
何とか散歩させてあげたかった
青空が見たい気持ちになった時に気兼ねなく外出させてあげたかった。
1日120人が行列を作る心療内科ではひとりひとりの家まで助けに行って、有意義な時間を作ることなど到底できない。だからこそ、「散歩ができる方法」を作る人が必要だと感じるようになった。
2.山形県にひきこもれ
学校に行けずに家にひきこもっている期間が1ヶ月を超える。会社に行けずに傷病手当をもらってひきこもる。そんな当時の自分に似た境遇の人に、、、
来月も家にこもっているのだろうな・・・
と予想されるなら山形県にひきこもることを考えてみてほしい。移動だけ頑張ってしまえば、人の目を気にすることもなく、雄大な自然が受け入れてくれる。
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3.というわけで行ってみた
山形県高畠町にひきこもれる可能性を探しに行ってきた。
1)山形県高畠町とは
まほろばの里と呼ばれる山形県高畠町。「まほろば」とは古事記などにある「まほら」という古語に語源がある「丘や山に囲まれた実り豊かで住みやすいところ」という意味だ。高畠町は山形県の南西部、福島県や宮城県に近いところにある。
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古き良き日本の原風景がそのまま保存されている地域だ
2)新幹線 つばさ
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高畠駅は新幹線が止まる。ただ、ゆっくり走る新幹線は新幹線と呼べるのだろうか?というくらいゆっくり走って止まる。米沢でいったん降りた方が早いかもしれない。
(佐久間くん談)山形と言ったらとても遠い場所の様なイメージがありましたが、新幹線に乗ってしまえばびっくりするくらい距離を感じませんでした。
3)まほろば古の里歴史公園と阿久津八幡神社
現地の協力者、外薗さんと合流し車で高畠町を案内してもらう。
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素晴らしい景色や縄文時代からの風景が全く観光地化されていないことに驚く。お土産やさんもなければ案内板も少ししかない。何より観光客がいない。
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(佐久間くん談)アニメの舞台にそのままやって来たようでした。人もいないので今までの生活とは切り離された場所の様に感じました。
4)瓜割石庭公園
「すごい石切場」があると聞いて来てみたのが瓜割石庭公園だ。驚いたことに自由に出入りできるようになっていて、ゲートもなければ管理人もいない。
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高畠町を盛り上げる際には保護をすることを考えないとあっという間に心ない人たちに汚されてしまうだろうなということ心配になった。
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3日間、高畠町に滞在して、いろいろな遺跡や施設、洞窟や湖をめぐったがゴミが欠片も落ちていない。観音様などに意味のわからない小銭が投げ込まれていない。とうの昔に諦めた観光地の嫌な文化すらここにはなかった。守りたい。
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この石の壁には石切に関わってきた人たちの思いや痕跡があった。人工的に切り出された壁だけれども人間が自然に切り出した壁のように見えた。人為的な印象はなく、自然と一体となっている人間の姿が見えるようだった。
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(佐久間くん談)都会の狭苦しさとは全く逆の大きくて広々とした空気に包まれて、気付いたら身体を動かしていました。
5)蛭沢湖と縄文時代の洞窟
高畠町は縄文時代の遺跡がたくさん出ている場所でもある。特に隠れ家のような洞窟がたくさんあって、ワクワクしてしまう。
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「釣り上げてはいけない」と書いてあった
リリースするのが基本らしい
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この穴は快適なワンルームの住居のようだ
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都会では「動かなければいけない」という気持ちで外出したり、運動することが多いと思う。里山では「動きたくなってしまう」何かがある。
- つい、走ってしまう
- つい、投げてしまう
- つい、振り回してしまう
まるで子どものように。
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(佐久間くん談)湖にいた人はのんびりとしていて、都会の慌ただしさは都会だけのものなのかもしれないと思いました。洞窟はもう素直に楽しかったし住みたいです。
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外薗さんとの出会いも大きなインパクトだったと思う
真剣に関わってくれる大人の存在
高畠にはそういう大人がたくさんいる
外薗さんは佐久間くんの話を丁寧に聞いて一緒に夢を育んでくれた人だ。アフリカに行く話まで二人で盛り上がっていた。そんな外薗さんに佐久間くんについて聞いてみた。
佐久間くんと最初にあった瞬間から「この子は、この地で蘇る!」という直感が湧いた。
たった2泊3日ではあったが、「この解放感、遮るものがない壮大な景色、最高です!」「僕、昔は田舎の自然が大好きでよく外で遊んでいました。懐かしい。」「この食事すごい!なんだろう・・・腸が重い!久しぶりに心が満たされていく・・。」という言葉を聞くことができた。
別れ際に彼が「ここに住みたい。ここで仕事をして自信をつけたい。役割が欲しい。」と言った思いが現実となるように、いつか自分が地域で元気に活躍し、後輩たちのモデルとなる生き方につなげて欲しい。
6)高畠町立二井宿小学校
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トイレをお借りしようと立ち寄っただけなのにお茶を出してくださって、地元の話をたくさん聞かせてくれた。都会だと影の薄い公民館が地域の要になっているのだという。
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人の温かさに触れて、この地の魅力が見えてきた気がした。
(佐久間くん談)町を移動しているととにかく視界の広さに驚きました。それだけで窮屈な気持ちは和らいだように思います。
7)観音岩
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都会では見ない姿だ
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(佐久間くん談)味わった事の無い静けさがあってとても心地良かったです。本当に気持ちが良かった。
8)ゆうきの里(今回宿泊)
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私たちの夕食の食材を集めるのに1日かかったという。最高のキャベツ、最高の人参、最高の米、最高の・・・それを信頼できる農家をめぐって集めてくれたのだそうだ。都会の食事でそんな風に材料を集めている人の姿を思い浮かべることがあるだろうか?
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一番上に少しだけ肉をかぶせる
肉の脂がほどよく野菜にかかる
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(佐久間くん談)
野菜を蒸しただけなのにその味の力強さと満足感に驚かされました。心配していた過食症状が起きなかったので本当にびっくりしました。
この夜、私と佐久間くんは衝撃の体験をする。続きは次の記事で!
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