富岡製糸場・前橋の古民家など
5月22日(水)23日(木)で富岡・前橋エリアに行ってきました。2ヶ月ほど前の農福連携フォーラムでご縁があったパーソルサンクス株式会社の中村淳社長のお誘いでプライベートツアーに参加してきました。
1.富岡製糸場へ
5月に千葉県のいすみ鉄道に乗ってきたが上信鉄道はそれを思い出すようなローカル線。ディズニーランドのアトラクションのような線路が延々と続く。運転手さんが駅に止まるたびに運転席から出てきて検札をしてくれる。
世界遺産 富岡製糸場と聞いていたので、最寄りの上州富岡駅は舞浜駅(東京ディズニーランド)とまではいかないにしてもすごく大きな駅なんだろうなと思っていたが、「この駅で観光客をまかなえるのかな?」と思うような駅でびっくりした。
2.とみおか繭工房
スケジュールの都合で富岡製糸場は入口と外観を見学して、初日の本当の目的地に向かった。それは「とみおか繭工房」2017年6月に旧富岡市立妙義幼稚園を再利用して作られた場所だ。群馬県伝統の養蚕業と障害者の雇用を一気に解決する農福連携のお手本だと聞いていたのでとても楽しみにしていた。
現地では20万匹、、、20万頭(と数えるらしい)のカイコが育てられていた。よく「福祉とはこうだ」「農業とはこうだ」「農福連携はこうだ」と簡単に評論する人がいるが、現地に入ってそれがいかに現場を知らない失礼なことなのかを痛感した。細かい細かい工夫を積み上げて、成立させているのが「とみおか繭工房」なのだ。
私が聞き取れた限りですごいことを列挙してみると、、、
- カイコの大きさや状態を揃えて管理する
- 一斉に目覚めるように調整するための工夫をしている
- カイコが食べる桑の葉っぱの与え方にも細心の注意が
- 余った桑の枝を和紙に加工する作業を組み合わせている
- 捨ててしまう枝を生かすことで環境にさらに優しい
- 和紙の材料は冷凍保存できるので雨の日の作業にあてられる
- カイコの成長の過程にあわせて地域で連携している
- 働く障害者の方が生き生きとして誇りを持てるように工夫している
- 幼稚園を残しつつ運営することで幼稚園の卒園者たちの思い出の建物を壊さずに保存することができている
- 和紙など作ったものの品質を高めて収益を上げられる仕組みにしている
それらを積み上げて「とみおか繭工房」があるんだと実感した。すごい。
本当の意味で難しいのは「富岡だから」「養蚕業だから」「障害者だから(この人だから)」というような特殊な条件をしっかり理解して、工房としての形を作っていることだ。この仕組みは他の地域では使えないし、他の業種ではできない。
3.irori場(古民家@赤城山の麓)
赤城山の麓にある古民家いやってきた。なんと養蚕業をしていたという3階建ての(3階部分は蚕の部屋)豪邸の古民家だ。
古民家の方が私たちが訪れるのに合わせて、ドラム缶風呂を用意してくれていた。「道から丸見えですけど・・・」入らないわけにはいかないな。
また、ドラム缶風呂の脇に何か大きな動物の亡骸が。捕獲したイノシシの残りだそうで、大きな頭がまだ残っていた。職業「羊飼い」という方が処理をしたのだという。「羊飼い」って、まじか!
初対面の人同士なのにこんなに仲良くなれる。これが古民家や自然の力なのではないかと思う。写真に写ることがあるならダイエット頑張らなきゃな。
障害者の話。地方創生の話。ゲストハウスを作る話。農業の話。歴史の話。いろいろな話で夜中まで盛り上がる。私が寝たのは深夜1時。他の人はどうっただろうか??
4.朝食と観光
古民家irori場の隣にある太陽殿というホテルで朝食。おにぎりのご飯もやさいも「おっきりこみ」も山菜もどれも美味しい。朝食なのに食べ過ぎてしまった。立場も専門分野も全く違う人たちがこんなに会話を楽しめるものかという和気藹々とした雰囲気。
irori場から山を登ると「赤城山」にでる。山の下の方にはツツジが満開だったが、山頂付近でツツジが満開になると観光シーズンに入るのだとか。
「羊飼い」さんの本領発揮。半分冗談だと思っていた羊飼いさんは赤城山で本当に羊を飼っていた。それも顔が黒い羊のショーンの羊だ。
大沼。冬は厚い氷がはって、ワカサギ釣りを楽しめるのだとか。
5.障害者とともに2019
今回の1泊の旅の目的「ぐんま障害福祉・障害者雇用セミナー」
昨日のプライベートツアーと今朝の観光でお腹いっぱいなところがあるが、農福連携フォーラムがあったから見えてきたこの道。そういう意味では興味津々だ。
昨日の夜は楽しく飲んでいた皆さんの表情が変わり、仕事モードに。中村社長はキャラが変わらない安定感でセミナーが始まった。
講演者の話をUDトークというソフトで即時文字起こしをしてスクリーンに映すその方法が福祉に詳しいみなさんのノウハウなんだなとまず感心して、アプリをすぐにインストールした。優れものだ。
ただ、誤変換が多く、間違えてはいけない方向に間違えるので真剣な話を聞きながらもクスクス笑ってしまう。専属のスタッフがそれを素早く修正していく。
講演会では昨晩からご一緒させていただいている毎日新聞社 論説委員 野沢和弘さんが「農福連携の基本や事例など」をお話ししてくださった
声の出し方から話の組み立て、気負いのない楽な話し方、、、圧巻だった。
つづいて、ソーシャルファームとしてひきこもりの人や元犯罪者などを受け入れて農業をされている新井利昌さんの話があった。一社でやらずにいろいろな組織と協力しあって進めていく姿勢が現代のシェアの社会風だなと感じた。都会のひきこもりの人の助けにもなってくれそうだ。
最後にパネルディスカッションとしてお待ちかね中村社長が野沢さん新井さんとともに登壇された。前橋市に新しくオープンする施設の紹介もあった。富岡であれだけすごいものを見てきた後だからなおさら期待が高まる。
そんな盛りだくさんの2日間を終え、町田に帰ったのは21時過ぎ。
意外に近い前橋なのであった。
※今後の活動の内容に絡むことやオープンにできないこともあるので、記事の内容は曖昧になっています。ご了承ください。