研修を提案するときの思い(性格分析講座)
性格を知りたければ動物占いでもエニアグラムでもたくさんの方法がある。グーグルを調べたらたくさん出てくる。
知識としてならネットで充分かもしれない。
でも今回は研修用の動画を作りこみ、10回以上も各地で講座をしてまで性格講座をすることになった。なぜ性格分析講座をすることになったのか?について、書いてみようと思う。
目次
1.価値が埋もれている
たくさんの会社の側面を見る立場だと状況、文化さまざまなものがそれぞれの会社で違っている。
急成長している会社だから
今回、関わらせていただいた会社は会社自体の勢いもあり、急成長している。どんどん拠点が増えて、現場からあっという間に管理職になる方も少なくない。
急成長の裏側で気持ちの切り替えができない人や忙しすぎて充分なノウハウを身につけきれなかった人もいる。
現場の知恵は値千金
現場から離れ、慣れない人の管理や交渉、売上管理、安全衛生に至るまでを任された人の多くは迷子になる。
不満を言えばたくさんあるかもしれない役割をみなさん必死に誠実にこなそうとしているのがこの会社の素晴らしいところだ。
そして、「社員それぞれが必死に見出した攻略法にはどれも値千金の価値がある」と感じた。
暗黙知の共有
もしその暗黙知を共有することができたらそれぞれの方の努力が報われるのではないか?生かされるのではないかと思った。
もちろん、数値にできるものやマニュアルにできるものの共有化はさすがにこの会社ではすでにできていた。
残された最大の暗黙知が人間関係におけるノウハウだ。
コミュニケーションのノウハウの共有
面接の会話、雑談の会話、リスクの拾い方、チームの作り方、モチベーションの高め方、ジェネレーションギャップなど。これらはあいまいで人にノウハウを伝えにくく、習得も難しい。
もし、実践しにくい心理学テクニックをアレンジしないでぶつけたら、忙しい中で頑張っているみなさんにただただ負担を増やしてしまう。そして、効果も大して出ない。
人間関係に関する暗黙知を全社的な話題にして、これから生み出されてくるノウハウを財産にし続けるには何が大事かを考えた結果。性格分析講座にたどり着いた。「性格」という言語化しにくい概念が言葉にできたらどれだけ共有しやすくなるだろう。そう考えたからだ。
過去にとらわれず
性格分析講座は福祉関係の会社や物流会社、生命保険の営業マンなど向けに実施したことがある。そのノウハウは参考になるかもしれないが、今、関わっている会社に最適化したい。過去のやり方にとらわれずに この会社×私 の交流から生み出される新しいものを見てみたい。そう思って、性格分析講座を提案した。
2.参加型の研修
性格分析のノウハウを伝えるだけなら単発の講座でもよかったかもしれない。でも、今回は7週間かけた動画研修のスタイルを提案した。
理由は3つ
- 全国に分散して働き方も環境も違うみなさんが研修に割く時間的な負荷を軽減するため。
- 動画学習と動画学習の間に実践期間を一週間ずつ設けて学んだことを使っていただくため。
- 実践した現場の声や事例、ノウハウを集めて、この会社のノウハウに落とし込むため。
実際に30人程度の部門で実施したプレ研修だけで、参加者からの反響、現場のノウハウがA4の紙で100pを超えた。
アンケートの評価の「大変よい」に丸がたくさんつく研修より、感想欄に字がビッチリ書かれた研修の方が価値が高い。丸をつけるのは簡単だが、意見を書くのは頭を使うからだ。だからこそ、この反響の大きさは何よりのご褒美になった。
関わること
講師業をしていると経験的に思う
- ただの講義はほとんど頭に残らない
- ワークを入れると少しまし
- 実践した人が質問すると学びが深い
- アウトプットの課題があるとよく考える
- 自分ごとに思えたら完全に身につく
最悪なのが臨場感のないロールプレイ。知り合いとゴッコをしても大して学びにはならないばかりか悪い癖がついてしまう。
今回の性格分析講座のゴールは社内の事例だけで性格分析講座を再構築して、すぐに実践できる形に落とし込むことだ。
「この報告書のここを見て相手の性格を判断する」
「面談では性格Aの人にはこの流れで話す。性格Bの場合は違う側面から話す」
「性格Aの人のクレームはこう受ける」
社内の誰かがすでにやっていることを性格分析を使って共有化する。それを作るのが研修のゴールだから学んで終わりではなく、関わりができる。
関わった人の学びが最も大きいのはある意味では当たり前だ。せっかく時間を割いていただくなら、そこまで使い込んでいただきたい。
性格分析が流行する
研修などでその会社を訪問させていただくと研修を受けた方が気さくに声をかけてくれる。それだけでも嬉しいのだが、驚いたことにみなさん性格分析の言葉を使う。
先週末、出かけたんですが、私の○○な性格が出まくってしまって、、、
ここまで使えているなら講座は大成功。と実感できる。「先生の講座良かったです」と言って何にも覚えてない人たちに講義する虚しさも知っているので本当にありがたい。社内でブームになればなるほど、みなさんの中での分析の感覚が共有されて文化になっていく。
3.気持ちがつながる
経営者も営業もマネージャーも技術者も広報も経理も内部統制をする人もベテランも新人も一生懸命に自分の役割に向き合っている。
でも、立場の違い、経験の違い、年代の違い、そして、性格の違いによってすれ違う。
人との関わり方が深くなった
性格分析講座をしているとこの言葉をよく耳にする。人との関わり方が深くなったと。
自分本位に基準を設けて、「あいつは大雑把だ」のように評価するのをやめて、共通のモノサシの上で「私はここが強いけどあなたはこちらが強い」と理解し合えると不要な人や役に立たない人がいないことがわかる。
でも、自分本位の基準を捨てるのが簡単ではない。多くの方がこの難題と向き合う間に観察力、洞察力があがる。
性格分析のノウハウが仮に理解できなかったとしても相手と自分の異なる良さをそれぞれ認められるようになるのは幸せにつながっている気がする。
目的を持って話すようになった
性格分析には相手とわかり合う。適材適所の仕事を割り当てる。交渉ごとをうまく進める。指導、教育の効果を出すなどの目的がある。
そして、その前に相手の性格を見極める。という目的で会話をしなくてはならない。今までもし、なんとなく会話をしてきた人ならこれは相当難しいこと。だから、目的を持って会話ができることはビジネス上大きな価値がある。
大事にされている気持ち
人は誰かに大事にされていると感じられると幸せになるし、やる気が出てくる。上司と部下、仲間同士、取引先やお客さんの間などで、相手を大事にしていても伝わってなかったらそれは悲しい。
相手の性格を知り、自分の性格を知って、そんなコミュニケーションの溝を埋めて欲しい。この会社の研修でそれが劇的に変わったら良いなと思う。
4.新しいものが生まれる
どの業種の方と仕事をしても私が知らないことがたくさんある。よくそんなことができるなと尊敬する人ばかりだ。
一方通行ではつまらない
私が知ることをただ伝えるだけならYouTubeで良いと思う。一方通行の講義なら新しいものは生まれない。
傾聴のような講義
私はカウンセラーだ。聴くのが仕事。丁寧に話を聞くことを傾聴というが、講義は傾聴だと私は思う。講義だから私が話をしている時間が長いけれど、どの話題で誰が頷き、目が潤み、集中が途切れるのかを見ていたら聞いている方の声が聞こえてくる。
参加者の素晴らしさ
多くの場合、講義に参加される方が素晴らしい解決方法やアイディア、課題、事例、観点を持っている。私が持っているアイディアやノウハウとみなさんの素晴らしさを重ね合わせると想定されていないものが生み出される。
講師の想定を超えたものが生まれる。新しいものが生まれる。これが講義の醍醐味であり、やりがいだと思う。
5.夢の一端に関わらせていただく
社会に対して思いを持っている会社はたくさんある。もし、心理学や性格分析という役割でその会社が持っている思いの一端に関わらせていただく。私が大きな影響を及ぼせる訳ではないにしても、その思いの実現に少しでも近づくことは私の喜びでもある。
カリキュラムありきにならない
カリキュラムが決まっていて、同じ内容をくり返す講師がたくさんいる。私もその方が楽だしノウハウを積み上げやすい。
でも、会社によって問題、規模、夢が違う。
その願いを叶えるために心理学を組み合わせる。残念ながら同じ提案を二度することはまずない。それは1000人のカウンセリングをしても1つとして同じものがないのと似ている。パッケージ化したカリキュラムでもできなくはないが、「あなたのために」「御社のために」と作ったものは込められた思いが違う。その違いがわかる会社。夢を応援させてくれる会社と仕事がしたい。
今はそういう会社に恵まれて、とてもしあわせだと思う。