さとこもり(2020年3月)
今月も群馬県前橋市でガチ農業を楽しんできました。
冬場はいちごがメインで何も植わっていないさみしい畑を横目に作業することが続きました。
が!
今回はレタス畑を作り、とうもろこしの種を撒いて、「春は近いな」と感じるさとこもりとなりました。
1.初の14人参加
これまでのさとこもりは8人乗りのセレナで十分な人数。
今回は日程が長かったせいもあって、14人もの参加となった。
大学生
過去にも参加してくれている大学生が「なんと!」友達を二人連れて参加してくれた。農業は1日ではわからないことも多いのでリピートしてくれるのは嬉しい。そして、友達を誘って話を広げてくれるのはもっと嬉しい。
これが前回種を撒いたやつだよー
ここ任せた!
流れがわかってきた!!
みたいな会話ができるのは常連の醍醐味だ!
そして、お友達とチームを組んで農業を楽しんでもらえたのは見ているだけてこちらも幸せな気分にさせてもらえた。ありがたい。
家族
家族で来てくれた人もいた。最近は車で家族単位で参加してくれる人も増えてきた。お父さんお母さん大学生のお姉ちゃんと中学生の弟の4人での参加だ。
お父さんはなんと!今朝起きたら「群馬に行こう」と言う話になっていたと言う。それでガチ農業とは頭が下がる。
精華学園の高校生
12月の女子に続いて、今回は男子4人が参加してくれた。一人の生徒が「今回参加してみたい」と言ってくれて嬉しかった。ところから、、、どんどん仲間を誘ってくれて、4人に!
知らない土地、知らない農作業、、、心細いだろうにみんなで電車を決めて、旅行カバンを引きずって前橋まで来てくれた。飛び込んできてくれた気持ちがとても嬉しい。
コロナがどうこう騒いで自粛ムードの中で送り出してくださった保護者にも感謝だ。
古い福祉関係の友人
5年ぶりにさとこもりがきっかけで再開した友人はしばらく会わないうちに横須賀で福祉関係の活動を積極的にするようになっていた。
彼は私も縁があるパーソルサンクスさんとも縁があるようで、「支援者が悩まないための支援」を頑張っていた。さとこもりの合間に「支援者の支援」「やまゆり園事件から学ぶべきこと」などを語り合うことができた。
常連
今回は何度も群馬を訪れている常連のメンバーが心強かった!
農業を手伝う時に大事なのは
「1日2日手伝うのは農家にとっては足手まといにしかなっていない」という事実を知って関わることだ。
初心者がいちごをひとつぶ収穫する間に農家さんは全体を見渡しながら10つぶのいちごを収穫し、余計な茎を選定し、トレーの上にキレイに並べている。
初心者はいちごをもぎ取るときに茎ももいでしまう。果実だけをもぐにはコツがあるからだ。さらには熟していないいちごを収穫してしまう。見逃して、取り忘れもたくさんする。トレーを斜めにしてしまい、収穫したいちごをトレーの上で転がして痛めてしまう。いちごの種類が見た目で判断できないから混ざってしまう。
収穫の後、どうやってパックに詰めるのか?フィルムを貼るのか?輸送するのか?並べ方が悪いとどれだけ販売価格が変わるのか?そういうことが見えてくるといちごの扱いが変わる。
常連のメンバーがいるということはそれだけたくさんの目でチェックして、教えて、作業をすることができるということ。ここまできてようやく「お役に立てた」と言えるようになってくる。だからこそ、常連のメンバーはありがたい。
2.レタス畑
先月から種を撒き始めたレタス。
ハウスですくすく育ったレタスをいよいよ畑に撒く。僕自身は2度目の挑戦だ!
去年のレタス畑に行こうとしたら、、、
「違う違う、、、土を休ませるから場所を変えるんだ」という。うおっ。たしかに!
トラクターを長谷川さんにかけてもらい、全員でレタスを植える。これがまた気の遠くなるような作業だ。8000株のレタスの苗を畑に植えていく。
シート張り
トラクターで「耕す」+「シートを張る」をやってもらった後を追いかけるようにクワでシートの両脇を埋める。きちんと埋めないと風邪で飛んでしまったり、レタスを巻いた穴がずれてしまう。
クワは慣れている人には神器とも言える性能だが、慣れていない人にとっては、「何で土がクワから離れないんだ!」と悩み、腰を痛める道具でもある。
穴あけ
シートには4列の穴があいている。
大勢で作業しやすいように先行してその穴に指を突っ込んで土を凹ませていく。穴が大きすぎればレタスが埋まってしまう。小さければレタスの苗が転がってしまう。指、2本くらいの穴をカニのように横移動しながら、バスバスバス、、、と開けてゆく。1列50mが何列あっただろうか?、、、腰が痛い。
分配
レタスの苗は200個ずつに分けられている。それを持って、ひとつひとつ先ほどの穴に配っていく。上から投げすぎれば外れて転がってしまう。下に近寄りすぎれば腰が痛い。ダーツの容量で穴に落としてゆく。
植える
分配係の後を追いかけるようにレタスの苗をギュッと植える。完全にはいつくばってやるような作業。これはキツい。交代しながら苗を植えていく。
支柱立て
太い針金のような棒を地面に刺し、蒲鉾のような形にしていく。高さや角度がずれているとシートを張ったときに強度が出ない。たまに横中覗き込みながら支柱を立てていく。
シートをかぶせる
メッシュ状のシートを一列ずつかぶせていく。50mを超えるシートは薄いとはいえ重い。ずるずる引きずってシートをかぶせる。
固定
最後にクワで周囲全部に土をかぶせて固定する。シートを足で踏んでピンと張って、クワで土をかぶせる。この頃になるともう足がいうことを聞かない。かぶせてかぶせてかぶせて、、、前を見る、、、まだ何十メートルもある、、、農家さんはこれを一人でやっているのか!褒められもせず、安い値段で買い叩かれて、、、やる気を失わないだけでもすごいと思った。
高校生
こんなに過酷な作業なのに、、初めての作業なのに、、誰一人脱落することなく、休憩を挟みながら、協力し合いながらもやり遂げた。
腰が痛いのに「これならできます」と別の工程を手伝ったり、黙々と作業をするうちに素早く、そして、次の工程の人に優しい作業ができるようになったり、、、
虫が嫌い。土は苦手。体力がない。
いろいろあったと思うが自分の都合を自分で工面して頑張ってくれた。参加してもらえて、本当によかった。彼らの中に「つらい」以外の何かが残ってくれたらなお嬉しい。
3.食事
都会の人たちは総じて食が細い。山盛りのご飯とたくさんのおかずを作業前は残していたけれど、作業をした後は食べ切ってしまうようになった。「焼肉食べたから午後頑張れます!」頼もしい言葉だ。たくさんのおいしいものを食べて頑張った!
そして、午後の作業開始から3時間。
「焼肉が切れました!」
素晴らしいエネルギー消費だ!!!
1日3回の食事の時間が楽しくなった。
4.温泉
拠点のある前橋市三俣の近くには温泉がある。農作業の後は温泉につかって、身体をいたわる。露天からは空が見え、ガサガサになった手がすべすべになる。そして、温泉から上がったら、砂糖水のようなコーヒー牛乳を飲む。
結局、毎日通ってしまった。
5.いちご
もちろん、今が旬のいちごの収穫も頑張った。実はいちごの収穫は地味に腰にくる。それでも美味しそうないちごを見つけては丁寧にもいでいくのは楽しい。
常連のメンバーは気づいたが、いちごは時期によって味が違う。2月のいちごは「あま〜い」といった感じだが、3月から4月にかけては酸味が増してくる。「甘酸っぱ〜い」という感じだ。
今回は生クリームをたっぷりつけて、いちごサンドにしてみた。
6.にんじん
にんじんの収穫は地元の「ひきこもり支援」の団体さんと一緒にさせていただいた。50代60代の人の参加も目立つ。これが良いきっかけになったら良いなと思う。
今年のにんじんは台風19号の影響で流されてしまっているので収穫がとても難しい。スコップで土を緩めながら雑草をかき分けて抜いていく。
ジュース用のにんじんは包丁で葉っぱをスパッと落とす。これが慣れると爽快で楽しい!
7.優しさ
今回のさとこもりは人の優しさが際立っていた。僕自身のコンディションが良くなかったこともあって、みんなができることをやってくれた。布団を干し、夕飯を作り、車を運転し、作業の準備や片付けをする。
指示をする。指示をされる。
この隙間は優しさで埋められる。
重たいんじゃないかな?
手が足りないんじゃないかな?
これをやっておいたら助かるかな?
車を回したら助かるかな?
寒いかな?
僕は仕事柄、限界ギリギリでも気づかれないことが多い。でも、今回はかなりたくさんの人が気づいて助けてくれた。「つらいです」と言えなかったり、言っても流されてしまうこともある現代で、隠している痛みを察してくれる人に囲まれているのは本当にありがたいことだと思う。
さとこもりが
ただの農業体験ではなく、人として大事なものを見つける場なのだと改めて実感することができた。農業はその気になれば他の人の作業を見ることができる。ペースを把握することもできる。疲れ具合もみてわかる。
8.散歩
「散歩。行ってきて良いですか?」
今回のさとこもりでよく聞いた言葉だ。
新鮮な空気を吸いながら、考え事をする。てんとう虫を観察する。インスピレーションを歌詞にする。星を眺める。コンビニに買い物に行く。
都会ではそんな気ままな時間すら簡単には作れない。
散歩する気持ちを作れたのはとても嬉しかった。
またやろう!
次回は5月1日から6日
初日は12:30前橋駅集合
最終日は14時 前橋駅解散だ