東大生、農業を手伝う@新宿ルミネ
みなさんこんにちは!玉木です!
6月27日の椎名は、前回の上野に引き続き、今回は新宿にて野菜販売のお手伝いをしてきました!
さらっと書いていますが、今回は前代未聞の有り得ないコラボ!
長谷川農園×IRORI場×東大生!
普通に過ごしていたら出会わない人たちが、この日新宿に大集結しました!
群馬サイド5名、東京サイド15人総勢20人が集まって、お祭り騒ぎで野菜を販売しました!
さらに今回は早稲田大学でジャーナリズムを学んでいる北村くんが東京チームを、IRORI場チームが群馬チームのレポートをしてくれました♪
ぜひご覧ください!!!
目次
ライター 北村大樹
私は早稲田大学大学院政治学研究科政治学専攻ジャーナリズムコースに通う大学院生。来年の春から新聞記者として働く。
現在は「障害」をテーマとする修士論文のルポルタージュ作成のため、障害者施設でボランティアをしている。
椎名さんとは東京大学のゼミで出会った。 兵庫県出身。小学4年から高校まで野球に打ち込んだ。また両親が障害者施設で働いており、小さい時からよく遊びに行っていた。そのため私の周りには障害がある人がたくさんいた。
この2つの経験が今の私の「核」になっている気がする。ただ話すことが苦手。「自分」を伝えることが苦手。こんな感じで新聞記者が務まるのだろうか…(笑)。
1.群馬チームの朝は早い・・・
朝の収穫・積み荷作業
朝4:30に起きて、長谷川農園さんに向かう。この日は雨だったのでしっかりとカッパを着ていった。
農園に着いて、5時からいつものズッキーニの収穫。小雨と霧の中3人で黙々と収穫していった。
連日の雨で水分をたくさん吸ったから、実がかなり大きくなっている。今までに収穫した最大サイズがどんどん更新されていった。しかし、それは収穫する僕らからすると不安でしかなかった。
「大きすぎると売り物にならない」からだ。それらは通称、〈おばけズッキーニ〉と呼ばれる。普段のおばけは僕らがもらって家で食べるか、人にあげるか、切ってそのまま下に捨てていた。
食べれば同じ味なのにもったいないなーといつも思っていたけど、八百屋さんやスーパーに〈30cmを超えるズッキーニ〉を置く余裕はない。居酒屋さんでびっくり限定メニューとして売られることはあるけれど、それだって毎日じゃない。
ズッキーニが終わったら今度はバジルの収穫だ。天気が少し良くなって、空が明るくなってきた。カッパを着ていると暑いぐらいだが、地面が湿っているから農地は涼しい。
バジルは普通のスーパーとかでは葉だけがパックに入れられている。でも長谷川農園さんでは、切ったバジルの3,4束を1セットにして、花のブーケみたいにして売る。かわいい白いお花も付けたままで、これも食べられるのだという。
取った野菜を1つ1つ丁寧に拭いて、コンテナに積んで車へ乗せる。時刻は8:30。ようやく準備が整った。
いざ行かん、新宿ルミネ!と息巻いていると、靴は持ってきたか?という長谷川さんの声。前に「収穫したらそのまま行くから。作業着の方が農家感あって良い」と言われたことを真に受けて、なんの準備もしてこなかった僕ら2人は素直に打ち明けた。
「靴、持ってません。」
長谷川さんは大いに笑い、僕らも笑った。少し疲れている中で、朝のいいリフレッシュタイムになった。
お客さんはどんな顔をして買ってくれるだろう。はたして野菜はどのくらい売れるんだろうか。そんな期待と不安を抱えながら、僕たちは東京へ向かった。(なお、車内で栗原は爆睡をかました。手島は長谷川さんの隣でちゃんと起きてました。申し訳ありません)
2.新宿に到着
途中で下仁田のこんにゃく農家の佐々木さんと合流して、2時間少しかけて新宿に着いた。いつもは待ち合わせか買い物ぐらいでしか来ない新宿。まさかそんなところに、汚れた作業着と土のついた長靴姿で来ることになるとは…。
新宿と長靴、長靴と新宿。どう見てもアンマッチな光景だが、一周まわってなんだかこれも楽しくなってきた。こういうときに開き直るポジティブさは、僕ら2人の長所だと思う。
到着した頃にはもう多くの生産者さんたちがブースを作っていた。先に到着して待っていてくれていた椎名さんたちと合流し、僕たちも品出しを始めた。
今朝取れた大きい野菜は1つ1つ売り、小さい野菜たちは袋に詰め放題に。陳列の仕方はその日ごとに毎回変える。1日の中でも売上が停滞してきたらどんどん変える。そこは今までの販売実績をもつ長谷川さんの手腕だ。
野菜をどうやったら美味しくキレイに見せられるか、お客さんの目にとまるにはどうしたらいいか。
ただ作って売るだけじゃない、販売のオモシロサを実感した。
佐々木さんのブースは手書きのポップをたくさん用意して、いろんな情報を一気に得られるように工夫されていた。
佐々木さんは群馬県で唯一県から認められたこんにゃくの達人だ。ちなみに日本におけるこんにゃくのシェアは97%が群馬県産だ。つまり、佐々木さんは日本で唯一世間から認められた達人ということになる。
「いつもは(長谷川さんと)2人でやることが多いから、賑やかでいいねぇ」と言ってくれた笑顔がまぶしかった。
3.東京チーム合流!
東大、早稲田大学などの生徒だけでなく、都内の高校生や主婦、普段悩みを抱えている人や障害がある人も駆けつけてくれた。
農と福と学と、、、あと何が連携しているのだろう?というくらいの多様な人が集まってくれた!ありがたい。
東大生も参戦
この日は12日に東京大学駒場キャンパスで椎名さんが授業を行った「障害者のリアルに迫るゼミ」で出会った学生たちが販売を手伝った。
販売開始から夕方までを手伝った東京大学前期教養学部2年大久保紗佳さん。
最初はお客さんに野菜のことを聞かれ、とまどっている様子だった。しかし、農家の方の売り文句を見よう見まねで実践していくと、少しずつ野菜が売れるようになってきた。「接客も、呼び込みも、苦手だと思っていたが、あの場に発生していた何かの渦に巻き込まれて、気がついたら楽しんでいた」という。
主にトマトの販売を担当し、「売れるのは嬉しいけどだんだん愛着がわいてきてちょっと複雑」と少し寂しそうな表情を浮かべた。「買う人も、売る人も、なんだか誇らしげで、みんな笑顔で、とてもあったかい時間だった」。
買う人も、売る人も、なんだか誇らしげで、みんな笑顔で、とてもあったかい時間だった。
おばけズッキーニ
「こんな大きいのがあるの!?」人の腕くらいの太さのおばけズッキーニにお客さんたちが驚く。
重さも1キロくらいはあるだろうか。前橋市で「赤城山古民家IRORI場」の民泊部門のオーナーの栗原大輔さんが「葉っぱの下に隠れて見つけきれなかったものが水を含んでどんどん大きくなった」と教えてくれた。
「中身をくりぬいてミートソースとチーズをのせてオーブンで焼けばおいしく食べられる。」栗原さんの売り文句に乗せられておばけズッキーニも何本か売れた。
販売開始から声を張り上げていた同古民家の民泊部門共同オーナーの手島敏達さんが店の中に入り込み、すっとしゃがみ込んだ。休憩をとるかと思いきや「野菜つめ放題で300円でーす」と喉は休めない。
「疲れとるがな」
その様子を見た栗原さんから鋭いツッコミが入る。手島さんはにたーっと微笑んだ。栗原さんと手島さんの説妙なコンビネーションを垣間見た。
野菜の価格は東京と群馬では1.5倍ぐらい違う。その価格差と、大きいものをどう料理したらいいかの知識が合わさって、お客さんが買いやすい環境をつくれた。
栗原くん×東大生
今回は椎名さんが連れてきてくれた東京の学生さんたちとも一緒に販売をさせてもらった。みんな本当に真面目で、一生懸命やってくれた。引っ込み思案で普段はあまり表に立たないという人でも、僕らと一緒に声を出して呼び込みをしてくれた。ある人は「次は自分で朝取ってきましたって言えるようになりたい」と言ってくれた。
そうやって、生産地のことを想ってくれる人がいる事は取る側からすると、とても嬉しい。そういう人が群馬に来て、なにかみんなの生き方のキッカケになれば、なお嬉しい。
普段だったら会えない人たちと引き合わせてくれた椎名さんには大感謝だ。
これからも多くの若者をIRORIと引き合わせてくれるだろうから、連れてきてくれたときにはもっと良い経験をさせてあげたいとおもう。
IRORI場のリンク(https://m.facebook.com/iroriba.akagi/)
仲良くなりすぎたのか、新宿の一等地で野菜バトルをしたのは反省している(してない)。
4.帰宅ラッシュ
「4時以降になると忙しくなる」農家のボス・長谷川さんが言うように夕方ごろから飛ぶように野菜が売れ始めた。頃合いを見計い、長谷川さんが値下げをしていく。「安いよ」「この値段でスーパーでは買えない」お客さんの弾む。
東京チームの様子
「タイムセールです。ズッキーニ1本100円でーす」夕方ごろから参加した東京大学教養学部1年の三輪千恵さんは、行きかう人に臆することなく、声を張り上げる。
東大のゼミで椎名さんの話を聞き、「自分の人間関係のあり方を考え直すきっかけになった」という。ゼミ後に椎名さんと2人で話し、いろんなことに挑戦して自分の経験を増やしていこうと思い、今回の直売に参加した。巨大ズッキーニを持ち、「筋トレになる」と笑顔を見せた。
野菜販売では、野菜の説明や金銭の受け渡しを通して必然と多くの人と触れ合う。「様々な年代の人と交流ができて新鮮な気持ちだった」と振り返った。
5.ラストスパート
夜8時の閉店まで残り1時間を切り、販売もいよいよ佳境を迎える。
それでも客足は途絶えることがない。ここで授業を終えたルーテル学院大学2年の東秀憲くんが駆け付けた。東くんも東大のゼミに参加したひとり。
椎名さんと話し、やったことがない野菜販売を一度やってみたいと思った。呼び込みをしながら、ズッキーニの手渡しやお金のやり取りを行った。
最初は緊張した面持ちでぎこちなかったが、すぐに慣れ、終了間際には欠かせない存在になっていた。「野菜を売っている人も買っていくお客様も楽しそうに接していることが印象的だった」と振り返る。「不思議だが誇りと愛着を持って仕事をできた」と顔をほころばせた。
閉店時間になり片付けをし、午後1時からの販売が終了した。農家の方は朝から働きどおし。疲れた表情を見せながらもどこか充実した雰囲気が満ちていた。
「今日はありがとう。またよろしく」長谷川さんと椎名さんが固く握手を交わし、それぞれの家路についた。
6.群馬チームの帰りの道のりは長い・・・
今回は2日間だけ新宿での販売を手伝わせてもらった。帰り道に長谷川さんから「販売してみてどうだった?」と聞かれたが、真っ先に出たのは『難しかった。でも楽しかった!』だった。
野菜の知識や料理の経験がもっとあれば、お客さんにもっと色んな価値を提供できたし、呼び込みをするときの言葉のセンスや発声の仕方なんかも、もっと磨かないといけない。レイアウトの仕方ももっと工夫できたかもしれないし、笑顔が足りてなかったかもしれない。課題は山積みだ。
けれど、自分たちで取ってきた野菜を「綺麗だね」とか「美味しそうだね」とか言ってもらえて、買ってくれた人が笑顔で『ありがとう』と伝えてくれるのは、
ほんとうにいい経験になった。
農業はよく医療とならべて例えられる。「人に命をもたらす仕事」だからだ。常に人のカラダを想い、人からは見えない努力を積み重ねる。雨の日も、記念日も、大晦日も元旦も。ただ農業は、医療のように人から直接感謝されることは少ない。先生と呼ばれることもほとんどない。それでも愚直に真摯に何十年も人を想って作り続けていく。
それらの苦労が報われる瞬間のひとつが、直接的な販売なのかもしれない。農協に卸すだけでは感じられない、消費者の感情。こういう機会をもっと増やしたい、そう心から思った。そしてこういう機会をつくるのは、僕たち新規就農者の役目だ。僕たちの周りにはまだまだそのチャンスがたくさんある。
いつか、IRORI場に来てくれた人たちと共に、そういう機会を持てたらなと、
希望を持っている。
栗原大輔
7.農に触れて
「私、有機野菜の本当の値段わかってるから。ごめんね。」
そう言い残して何も買わずに立ち去ってしまうお客さんがいた。私は拍子抜けして、お客さんの後ろ姿を目で追った。
野菜を買ってもらえなかったのだから悲しいはず。しかし、なぜか心が高鳴った。駅にはいろいろな人が通るのだとふと思ったからだ。
ズッキーニの選び方ひとつとっても100人いれば100通りの選び方がある。
見たことがない黄色を避けて緑色のズッキーニを選ぶ慎重な人。珍しい色に飛びつき黄色を選ぶ人。緑を2本、黄色を1本選ぶ人。黄色に引かれて迷わずに選ぶ人。しっかりと悩んで選ぶ人。味の違いを店員に聞く人。どうやって食べればいいか聞く人。でかいズッキーニを買っていく人…。
数え上げればきりがない。 どの選び方がいいとか悪いとかではない。いろんなバックグラウンドを持った人が野菜を通して一つの空間にいて、つながれたような気がする。それがとても心地よかった。
正直なところ、ライターとして参加していることを忘れている瞬間がたくさんあった。今度は農家に行って野菜のことをもっと知りたい。そして買ってもらえなかったお客さんに買っていただけるようなお話をしたい。
北村大樹
8.おわりに
私玉木は帰宅ラッシュの時間から参加したのですが、、、
とにかく一体感が半端ない!
笑顔で本当に楽しそうに活動している姿がとても印象的でした。野菜を通して、都会と地方が繋がる、人と人とがつながる。我ながら素晴らしい活動をしているなあと誇らしく感じました。
椎名は言います。
学習をして知識が増える。カウンセリングをして気持ちが切り替わる。ゲームやSNSで気を紛らわせる。それは悪い事ではない。でも、1日中大きな声を出していたり、身体を動かしていたり、「ありがとう」と言ったり言われたりする事と比べたらどうだろうか?
まるで別人のようだ!
参加してくれた人の顔が最初と違う。声の出し方が違う。心の軽さが違う。身のこなし方が違う。人の繋がりが違う。誰もが気づかないうちにそうなっている。頑張って変化した人など一人もいない。全員が自然と別人のように生き生きしていた。
そこには「群馬チームと東京チーム」「東大生と社会人」「健常者と障害者」「学生とおじさん」のような区別はない。当たり前に人がつながる。なぜならば、そんな事は頭ばかりを使っている人の「ただの思考」でしかないからだ。考えれば考えるほど分類が生まれ、壁が生まれる。心と身体に従えばそんな区別を認識するまでも無い。そんな人と人との関わりが心地よく無いはずがない。
新宿の一等地で壁が無いコミュニティが生まれた
実は「この集団は何なんですか?」と勘が良い人に聞かれた。主催をしているLUMINEさんやJRの関係者の方にも聞かれた。お客さんが調理方法を丁寧に教えてくれた。通りすがりの人とおしゃべりができた。観光客の外国人と記念撮影をした。隣のお店の人と仲良くなった。店じまいする頃には「主催者と出店者」「店員とお客さん」「出店者と出店者」の壁が薄くなっていた。混ざっていたのだ。「いやぁ〜これっすよ!!」
販売すると、今度は収穫したくなる。
今度は東京チームで群馬に乗り込むぞー!!!
楽しそうな雰囲気が伝わったら幸いです。これだけ盛り上がっていると入りにくい・・・って思うかもしれませんが、あなたの「参加したい!」をいつでも待っています。