人のつながり方革命
ここ数年、人と人とのつながり方がだいぶ変化しました。
「親と子」といってもその関係性は「育てる」「導く」「やしなう」というものから「遊ぶ」「共感する」といったものまでさまざまです。
講座を開催してみて感じたのは「親と子」「上司と部下」「ブロガーとフォロワー」といったときの「と」が何を意味しているのかが人によって全く違うこと。
目次
1.弱いつながりが大事
講座の中で詳しくお話ししましたが、最近は「親友」「家族」という強固なつながりよりも「いいね」をしあうような弱いつながりが大事になっています。
実際に10人の親友がいるよりも1万人のフォロワーがいる方が社会的な影響力や収益力は高いといえます。それに加えて、「親友」を作って人と深くかかわることが苦手な人も増えています。SNSに自分のキャラを崩さないように投稿して弱いつながりをたくさん作って生きていければ極端に言うと面倒な関わりをする必要がないのです。
2.自分だけができていない誤解
ただし、SNSに投稿されるのはその人たちの全てではありません。自分を良く見せようとしている人はその部分だけ。自分の主張を自分で言えない人はシェアだけ。表現するのが苦手な人は「いいね」や「コメント」で自己表現をします。
それを閲覧していると「みんなうまくいっているのに自分だけダメだ」と感じることも少なくありません。本当はダメな部分を投稿していないからそうなっているのですが、SNSが全てと思えてくると隠された情報が見えなくなります。
その結果として、「みんなはうまくやっているのに自分だけダメだ」と悩む人が多発します。カウンセラーからしてみれば、「全員似たようなことを相談に来ますよ」ということでもあります。
3.リアルがない人たち
リアルの体験はとても大事です。Googleで調べたり、誰かの指導を受けなくても100m走って疲れたとしたらその感覚は事実です。100%あっています。
リアルというのは不便な身体や能力、時間の制約を受けるとどれくらいうまくいかないかを検証することでもあります。
野菜の収穫をする方法を理解することは難しくありませんが、それを1時間続けたときの腰の痛さや握力の低下、「この大きさで良いのだろうか」という不安などはやってみないと感覚的に理解できません。そして、「腰が痛いな」と感じた瞬間がリアル。「不安だな」と思った瞬間がリアル。なのです。
お金稼げないカウンセラー
カウンセリングに相談に来る人の悩みのほとんどが「仕事がない」「お金が足りない」「会社が辛い」といったお金に関係する悩みです。「3億円あげるよ!」といって現金を渡せばその場で治ってしまうかもしれない人がほとんどです。
一方でカウンセラーはお金が稼げていない人が多い職種です。年収300万円に満たない心理カウンセラーが経済的な問題に端を発した悩みを持っている人をどれだけサポートできるでしょうか?僕だったら「孫正義」さんにカウンセリングしてほしいと思います。「君が稼げていないのはコレだよ」とすばっと言ってくれそうだからです。
つまり、心理カウンセラーは資本主義社会で力を発揮できないのに理屈をこねる。これはリアルではない気がするのだ。
食育の専門家
最近食育の専門家という人にも数名お会いしたが、どの人からも土の匂いがしない。お化粧をバッチリ決めて、きれいな服を着て、「野菜に感謝しましょう」とか言っている。
5分も収穫作業をしたら「腰が痛い」と言いそうな人が上手な言葉で正論を言う。多くの人がそれに踊らされている。
教師
子どもたちを社会に送り出すのが仕事の教師。社会をどれだけ知っているのだろうか?どの業界が10年後にどうなるか?その業種に入っても望む作業を担当できない確率が多いと知っているのだろうか?
子どもたちは「調理が好き」といって調理師になるが、調理師の仕事のほとんどは人間関係だったり、経営だったりする。アパレル関係の仕事のメインは人間関係だ。
そういう意味でほとんどの教師にはリアルがない。会社を作ったこともなければ大ヒット商品を作ったこともない。
記事を書く人
ネット上にあるほとんどの情報は噂話だ。誰も裏付けを確認しないまま情報だけがぐるぐる回っている。先日も「あおり運転」で話題になった人とプロフィールが少し似た別人を平気で吊るし上げてしばらく誰も気づかなかった。
こんなリアルがない人たちの社会に日本はなろうとしている。
その教育もその食育もその人生相談もその記事もどこか違うのだけれどもはや止めることができない。リアルを知っている人たちは発信力でその人たちに及ばないからだ。
マスコミ
僕は普段テレビを見ないから久しぶりに見るとひどく傷つくのだが、「車道の真ん中を歩くゾウ」のようなニュースの見出しを言われると「それは大変だ」とニュースを見る。そうすると平然と「タイのバンコクで・・・」とゾウのニュースを流す。ものすごく悪意があって、騙そうとして番組を作っているんだな。と傷つく。
僕はダメな人や下手な人に何をされても傷つかないが「悪意がある」と1mmでも感じたらその人と関わらない。TVは完全にアウトだ。
4.本当のことを知りたい
最近の中高生は信頼関係ができてくると「本当のことを知りたい」という。
ファブリーズを家中に散布して、マーガリンが中心にたくさん入ったバターロールを食べて、人の前では服をこすって匂いを出す。
恵方巻きは数年がかりで無理やり全国区の文化にされた人工のイベントだ。
毎日日替わりで「人参が健康にいい」「キャベツがいい」「アボガドだ」という話を聞き続け、スーパーはそれに合わせて特売をする。
子どもたちは「これは嘘くさいな」というのはわかっている。TVが嘘ばかりでTwitterが真実だというTwitterユーザーもいるが、責任を追及されないだけTwitterの方が胡散臭い情報も多い。だったら何を信じたら良いのか?
一番たちが悪いのは「私が言っているのは本当だ」と自分でも信じているリアルがない人たちの発言だ。
「本当のこと」を知るのは実は難しくない。
5.リアルこそ本当への道
本当のことを誰かにきれいな言葉で説明してもらおうとすることはそもそもの間違いだ。それを引用するだけで自分で味わわない人が迷子になっている。
100mダッシュしたら疲れるか疲れないか?
をGoogleで調べても意味はない。100m走れば自分の体が教えてくれる。
それはまぎれもない真実だ。100m走れば自分はこれくらい疲れるんだ。
今、ルミネさんに協力していただいて、マルシェでの販売をしているが、実際に店頭に立ってみると声が出なかったり、硬い床の上にいるので足の裏が痛くなったり、お客さんに喜ばれて思いのほか嬉しかったり、、、それらはリアルだ。
10人に声をかけて、10人が喜んだならそれはリアルな実力かもしれない。本やネットを読んで「上手な声のかけ方10選」を頭に入れてもそれはデータが増えただけで、本当の意味の経験は積み上がらない。
6.順所がある
講義で解説したので割愛するが、弱いつながりを大事にする人たちがつながりを徐々に濃くしていって、明確な価値観。生きる指針を手に入れるには「リアル」が欠かせない。
驚いたことに頭が良い子がたくさんいる一方で「どこに向かったらよいか?」がわからない子が多い。リアルがなく、ただただ情報とスキルだけを身につけても人生は見えてこない。
精華学園高等学校 町田校ではリアルを通して、まず先に子供達が自分自身の人生を自分の責任で生きることを了承し、自分が大事にする価値観を明確にする。だからこそ勉強する気にもなるし、自分の意思で人生をおくれるのだ。
そんなことを受講生とディスカッションしていたら、大幅に時間をオーバーしてしまった。
7.リアルとしてのマルシェ・農業
LUMINEでの活動や農業はリアルを思い出す取り組みでもある。
参加すると色々なことに自分で気づける。
それだけでも価値があると僕は思っている。体験と実践心理学講座がよい意味で相乗効果を埋めたら素敵だなと思う。