心理カウンセラー養成講座に込めていた思い
カウンセリングを教えることをやめて久しいが、昨日、古い仲間と久しぶり話をしていろいろ昔のことが思い出されてきた。
目次
1.心理カウンセラーとは
私がカウンセラーを養成していた頃の心理カウンセラーの最低条件は
1.何も持たないこと
2.社会において成功していること
だった。それは今も変わっていない。これが矛盾していると感じる人はおそらく主体的に行動したことがない人だと経験上思う。
例えば営業マンは1日に5件10件と営業してまわる。
3ヶ月で成果が出るとして、300件から600件はまわる。たまに30件しか回っていないのに「うまくいきません」「コツがありますか」と聞く人がいる。ひどいとググっただけで「難しいです」という。そういうのは行動しているとは言わない。お勉強と傍観だ。実践ではない。
答えは成長しないと見えない
カウンセラーなら300人くらいは実践をさっさとこなして欲しい。生徒同士でロープレしているとしたら論外だ。悪い癖がつくだけだからおままごとのロープレはやめた方が良い。
なぜなら、答えの情報にたどり着いてもそれを理解する目や経験がない人には見えないからだ。得られる成果は自分の成長であって、わかりやすいハウツーではない。そんなハウツーはググればわかる。価値はない。というかクライアントもそんなことは知っている。嫌われる勇気を読んでいる。当たり前だけど。
出来事は陰陽から成り立っているので矛盾してる
実践を続けていくとコトの陰陽がつかめてくる。矛盾していると感じるのは一面しか見えない人だ。
数百人のカウンセリングをすると見えてくるのが自分自身のこと。心理学を学んだと言っても使えていないことに気づく。ワークと呼ばれる型ができても、実践できないなら意味がない。
もし、実践できているなら支援者が増え、経済的にも安定する。お金くださいと顔に書いてあるカウンセラーはクライアントをお金だと思っているのがバレバレだ。悩みはカウンセラーのお金を引き出すツールではない。
相談者の多くが経済的な悩みと人間関係に端を発する悩みを抱えている。一方のカウンセラーは経済的な弱者が多く、コミュ障な人も少なくない。
自分ができないこと、見えていないことを支援するわけだ。
2.心理カウンセラーは搾取する
そんな苦し紛れの心理カウンセラーはどうしてもクライアントさんのお金や時間、気持ちややりがいを搾取してしまう。
様子をみましょう
とカウンセラーがいう。様子を見続けて、一年後、よくなっている人は少ない。様子を見るとは手詰まりの言葉だからだ。
褒めましょう
褒められて育った人は企業に馴染めない。全部がパワハラにみえてくる。福祉や学校や公園の遊び場に最適化された子供は社会や世界では生きていけない。
ニセの幸せ
不幸な人がカウンセリングをする。幸せを知らない人が「嫌われる勇気」とかを読んで、本に書いてあった幸せに導く。ガセネタだ。ネットワークビジネスのようなカウンセラーが残念ながら多い。自分の幸せと稼ぎが足りないから、悩んでいる人を食い物にする。
キャリアカウンセラーなら自分の年収以下の進路をサポートしたら良い。上は知らないのだから本で読んだガセネタをばら撒きかねないし、検証できる立場にない。
何も持たずに成功する
3000人を超えてカウンセリングをすると
何も持たないこと と
成功していることが矛盾していないことがわかる。
心はロジックではないからだ。
持っていると見えないことが多い
お金を持っている人はお金で解決しようとする。
知識がある人はそれで解決しようとする。
技術がある人もそうだ。人脈もそう。
最悪なのは資格の後ろに隠れる人だ。
○○心理士なんです!
そんな肩書きに頼らないと助けられない人はいらない。肩書きは自分の履歴書に書くくらいで十分だ。
肩書きを振り回す人は世間を知らないのだなと思う。弁護士でも営業してまわるご時世。その資格振りかざすほどたいしたものではない。印籠ではなく会員証だ。
営業で600件まわったという経験ですら使おうとすれば話を歪めてしまう。捨てるべき過去の経験だ。
何も持たないからこそ見えるもの
でも、何も持っていなかったらどうだろう。
相手を大切に思うけれど助けになる何も持っていない。歯がゆい。くるしい。便利な道具が、わかりやすい解決が欲しくなる。夜も寝られない。解決できないからこそ相手を知ろうとする。必死になってたくさんの人の助けを求める。勉強する。
今度、その人に会うその日までにカウンセラー自身が成長するしかなくなる。オーダーメイドでその人にしか通用しない答えが見えてくる。
ワークや心理療法はポテトを揚げるマニュアルのようなものだ。ジャガイモがどこ産なのかを知らなくても格好がつく。
カウンセリングの答はカウンセラーの成長
カウンセリングの答えはいつでもカウンセラーの成長じゃないのかなと思う。カウンセラーとクライアントの2つの人生が統合されたもの新しく生成されたものが答。それは成長と呼ばれている。
カウンセリングが10000人を超えると自分が悩んでいる人のフタになっていると痛感する。自分が担当したから、ショボい未来に導いてしまったのだと反省する。世界的なカリスマを狭い世界に閉じ込めているのは他ならぬカウンセラーそのものだ。
燕雀安んぞ鴻鵠の志を知らんや
だ。燕雀カウンセリングほど酷いことはない。
当時はそんなことを考えていたが、だんだん息苦しくなってきて心理カウンセラー養成講座をやめた。
3.知識だけで正解を知る人たち
ネットの普及でほとんどの人が答えにあたる綺麗事を聞いたことがある。嫌われる勇気や心理学を使ったドラマなどで知識は得られる。
多くの人が、それ知ってます。嫌われる勇気でしょ?のように言う社会になった。できていないくせに答えだけ知っているので、わかった風のことをペラペラいうだけで変わらない。
心理療法は進化しているのに悩んでいる人だらけだ。頭でっかちばかりで結果は出ていない。
だから教えるのをやめた。
4.ありがたい仲間の声
昨日あった古い仲間に「椎名さんの6年前の言葉をまだ覚えているし確実にそれで人生が変わった」と当時のことを話してもらって、意外に役に立っていたのだなと思うことができた。
5.浅くなっていく社会
僕は年々、人が浅はかになっているように感じる。
ググった知識と実践10000回は当たり前だけれど違う。
難民風の写真をアップして、助けてください。と言えば大勢の人が助けてくれる。その難民が本当に困っているのか?ヤラセではないのか?確認する人はいない。
ネットで流れているニュース風の記事の何割かはどこまで辿っても主催者が書いていない。○○事務局とだけある。でも、バズっている。誰もソースを確認しないから。そもそも、満員電車でチラ見した程度で拡散してしまう。その人たちの中には言論戦を戦っているという人もいる。実戦をしろ!と思う。
リストカットをやめなさいとただ言い放つ人はリストカットかなんなのかを知らない。
社会復帰のために散歩や図書館を勧める人はその人が住んでいる町を知らない。隣の家の目を知らない。
加害者と被害者がよく間違われてしまっていることに多くの人は気づかない。マイノリティ、弱そうな人が加害者であることはとにかく多い。それに気づかず力を貸す、カウンセラーも多い。浅い。
被害者の看板を掲げる人は
被害者団体が何種類あるのかを知らない。あなたの問題だけに関わっていられない。生み出している人は忙しいのだ。そして、その団体があるおかげで問題が長引いていることを知らない。
自殺防止キャンペーンが人を自殺に追い込んでいることに気づかず、自殺衝動を抑えている人の前でスピーカーで自殺と連呼する。
そんなことに
10年間抗ってきたけれど、社会の変化は本当に激しい。公認心理師に期待して、心理カウンセラー養成講座をしめた。
が、昨日の仲間は
世間ではお勉強のカウンセリング、おままごとのロープレのスクールばかりだと言う。心理カウンセラー養成講座はもうやらないのかと言う。
復刻版を一度だけやってもいいかなと少し思った。
10年間で、関わった人の成長も見たいので、10年間の人の繋がりが凝縮したような会なら楽しいかなとも思った。